イスラエル首都問題

エルサレムは、古くより三つの宗教の聖地として栄えたが、経済的には必ずしも重要な位置を占めてきたわけではなく、そのためエルサレムを領土に収め た代々の国家のうちエルサレムを首都としてきた国はほとんどない。古代のユダ王国や、十字軍国家であるエルサレム王国を除いては、エルサレムは一地方都市 にとどまっていた。しかし宗教的には非常に重要な土地であり、イギリスの委任統治領時代に首都がおかれたこともあって政治的重要性も増した。現在においても、エルサレムは、議会や首相府、中央省庁などがある政治と文化の中心であり、イスラエル最大の都市である。
しかし大戦後、イスラエル建国・第一次中東戦争などによってパレスチナ問題が起こると、歴史的経緯により国家の正統性にも関わるエルサレムの領有問 題もにわかに浮上する。第一次中東戦争の休戦協定により、エルサレムが東西を分断された後、西エルサレムを占領したイスラエルは1950年に議会でエルサレムを首都と宣言して、テルアビブの首都機能を西エルサレムに移転。その後、1967年の第三次中東戦争でイスラエルが東西ともに占領し、1980年には、改めてイスラエル議会により、統一エルサレムはイスラエルの永遠の首都であるとした。
1980年に国連総会は東エルサレムの占領を非難し、その決定の無効を143対1(反対はイスラエルのみ、棄権は米国など4)で決議した。
今に至るまで、エルサレムはイスラエルが首都と宣言していながら、現在も多くの国は認めていない。
多くの外国の大使館、領事館はイスラエル建国初期に首都機能があったテルアビブに集中している。1967年までは13カ国の大使館がエルサレムに置かれていたが、ヨルダン川西岸やガザ地区の占領に抗議してこれらの国も大使館を移転し、2012年現在、エルサレムに置かれている大使館・領事館はひとつもない。
2009年EU議長国のスウェーデンは、エルサレムをイスラエル、パレスチナ自治政府、両方の首都とするよう求める発議を行った。イスラエルはこれに反発し、EU加盟各国に抗議を行った。

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