特別研究員
特別研究員(とくべつけんきゅういん)とは、
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日本学術振興会特別研究員 [編集]
日本学術振興会特別研究員(にほんがくじゅつしんこうかいとくべつけんきゅういん)とは、国内の若手研究者を日本学術振興会が採用し、給料(研究奨励金)を支給する制度である。特別研究員には、年間150万円(SPDは300万円)以内の科研費も支給される。1985年(昭和60年)に始まり、その後拡充されながら現在に至っている。特別研究員には、以下の4種類がある。
- 特別研究員-DC: 博士課程(博士後期課程又はそれに相当する課程)在学中の34歳未満の学生を採用(採用期間2-3年間、研究奨励金月額20万円)
- 特別研究員-PD: 34歳未満の博士課程修了者(いわゆるポスドク)を採用(採用期間3年間、研究奨励金月額36.4万円 ※博士学位未取得者は月額20万円)
- 特別研究員-SPD: 特別研究員-PDのうち、特に業績の優れている者を採用(採用期間3年間、研究奨励金月額44.6万円)。応募資格34歳未満。
- 特別研究員-RPD: 博士の学位取得者で、過去5年以内に出産又は子の養育のため、研究活動を一定期間中断していた者を採用(採用期間2年間、研究奨励金月額36.4万円)
背景 [編集]
大学院重点化に伴い、博士課程に在学中の学生と、博士号を取得したポスドクの人数は飛躍的に増えている。しかしながら、博士課程の学生に対する生活 資金補助は、政府による補助、大学による補助を合わせてもまた充実しているとは言えない。また、ポスドクを雇用する資金の多くは国のプロジェクト予算であ るが、これは政策目的に沿った国家プロジェクトの成果を出すことが求められるため、若手研究者が自由な発想で研究を進めるのにふさわしい制度とは言えず、 将来日本の学術を担う層を育成するために、より自由な研究を可能とする制度が求められている。制度 [編集]
特別研究員制度は、最も研究意欲が充実した伸び盛りの時期の研究者に生活費と研究費を支給することにより、研究に専念できる環境を用意することを制 度の目的としている。研究に専念することを重視しているため、同時に他の身分を持つことは許されない(博士課程の学生としての身分を除く)。また、研究 テーマは本人の独自のテーマであることが重視されており、独自のテーマを進めるために科研費の補助が受けられる。審査 [編集]
若手研究者のポテンシャルを評価する観点から、所属大学や所属研究室については一切考慮されず、申請書の内容および面接の内容、研究室の移動の有無 などによって評価される。 審査は特別研究員等審査会委員(日本学術振興会のホームページに公開)および専門委員によって行われる。書面審査は6名の専門委員で査読し、その評点を偏 差値化して上位のものを一次採用内定者とする。書面審査でボーダーラインであった申請者については面接を行い、二次採用内定者と補欠内定者を決定する。特殊な雇用形態 [編集]
特別研究員は日本学術振興会との間に雇用関係がないことが明記されている。また所属する研究機関(大学など)との雇用関係もない。このため社会保険や厚生年金に加入することが出来ず、期間終了後に就職できなかった場合も失業手当を受け取る事が出来ない。研究機関が他の雇用関係にある職員に与える福利厚生(通勤手当、健康診断など)も認められない。なお、当然国民年金と国民健康保険には加入できるが申請は個々人が行わなければならない。厚生労働省が行う統計上の分類は「無職」である。 特別研究員に支給される研究費は科学研究費補助金として扱われ、所属する研究機関が管理する。このため特別研究員が研究費を使用するには所属機関の許可を得なければならない。採用者の実態 [編集]
平成17年度の申請者数は約12,000人で、新規採用者はその約15%にあたる1,900人弱である。なおPDに関しては、近年申請者数が低下傾向にある。採用率は年度によってバラつきが見られるがおおむね10%前後である[1]。特別研究員に採用されると、給料に加えて年間150万円までの研究費も支給されるため、研究大学院大学の助教や地方大学や短大の講師として採用されるよりも研究資金を得やすい(但し給料は低くなる)。しかし、任期が3年に限られているため、長期的なプロジェクトを行う事が出来ない。なお博士号取得が大学教員の採用条件になっていなかった時代は、優秀な者は修士課程修了段階で助手として採用されることがあり、一部からは特別研究員制度を「イマイチな研究者の生活保護」と揶揄する声も聞かれた[要出典]。しかし、近年では博士号取得が大学教員の採用条件となったため、そうした事例は無くなった。また、特別研究員としての職歴が研究者の業績として評価されることもあるため、多くの博士課程の学生が特別研究員制度に申請しているのが現状である。
独立行政法人及び大学共同利用機関法人における特別研究員 [編集]
日本においては独立行政法人の研究所においても特別研究員の制度がみられる。理化学研究所や国立健康・栄養研究所、国立情報学研究所はその一例である。大学共同利用機関法人では国立遺伝学研究所なども特別研究員制度を定めている。大学における特別研究員 [編集]
近年、従来の教授、准教授、助教の職位に加え、特別研究員という職位を設けている大学も存在する。その他 [編集]
企業・その他の研究所などにも特別研究員が置かれる場合がある。脚注 [編集]
- ^ PD の場合、平成18年度は申請者数4,446人で採用者数は385人(採用率9.0%)、平成19年度は申請者数4,440人で採用数は458人 (10.6%)、平成20年度は申請者数4,136人で採用者数は351人(8.8%)、平成21年度は申請者数3,503人で採用者数は322人 (9.6%)、平成22年度は申請者数3,221人で採用者数は399人(12.4%)である。( http://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_saiyo.htm )
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